コンテンポラリージュエリーの話
聞きなれない単語かもしれませんが、私は『コンテンポラリージュエリー』というジャンルの装飾品が好きです。
定義としては、「既存の素材や作り方にこだわらず、コンセプトに基づいて作られた装飾品」「身に付けるアート」といった感じでしょうか。
私は子供のころから、赤文字系と呼ばれる「男うけ」を謳った女性誌は苦手で、キラキラした華奢なアクセサリーもなんとなく自分の為に作られたものではない気がしていました。
仕事柄カッターワークをすることが多く指輪はつけませんし、肩がこるためネックレスもつけません。
身に付ける装飾品はピアス程度。
そんな私がコンテンポラリージュエリーに興味を持ったのは、画像検索でたまたまShingo Matsushitaのアクセサリーを見たのがきっかけでした。
今でこそ、ニッティング(糸でかがる作り方)のアクセサリーやキャッチ(ピアスの芯を受ける金具)にパールを使ったピアスは一般的になりましたが、2011年当時の私にはとても斬新で新しい世界が開けた感じがしました。
私は疲れたOLだったので、鏡を見るたびに自分を強くしてくれるようなアクセサリーが必要だったんだと思います。
すぐに取り扱っているショップを探して購入しようとしましたが、欲しいデザインの在庫がなく、作家さんに連絡を取って、オーダーで製作してもらいました。
今でも特別な時につけています。
ルーツを探る
コンテンポラリージュエリーはドイツとオランダが本場です。
毎年ドイツのミュンヘンでコンペティションがあるほか、オランダには専門のギャラリーや学校があります。
たまたま2015年にオランダに行く機会あり、せっかくなので本場の作品をたくさん見てきました。
糸や布、紙や貴金属、樹脂やガラスなど、様々な素材を組み合わせて、「美しく感じるもの」を純粋に求めているように見えました。
キラキラしているから美しいとか、貴重な素材だから美しいとか、細かい細工がされているから美しいとか、全部なんとなく違和感を感じていましたが、美しいと感じるものが美しいよねっていう当たり前のところに立ち返った気持ちです。
そこで面白かったのは、気に入った作品の作家さんをチェックすると、ほとんどが日本人だったこと。
「な~んだ」という気持ちと「嬉しい」という気持ちが半々。
日本の人の作品は繊細で、コンセプト頼みではなく、完成品そのものが美しかったです。
似たような価値観やバランス感覚を持っていて共鳴したのかもしれませんが、異国で頑張っている方の作品を見て私も刺激を受けました。
日常で使えるコンテンポラリージュエリー
本場でコンテンポラリージュエリーを見て思ったのは、作品が大きく、日本人が普段使いできる雰囲気ではないなぁということ。
作品集はたくさん買ったのですが、アクセサリーは1つも買えませんでした。
日々使うものはもう少しこなれた感じの方が使いやすいから、日本人の感覚に合うようにチューニングされたアクセサリーを日本で買うのがいいのかもしれません。
日本だと恵比寿にある『ギャラリードゥポワソン』や京都の『ギャラリーC.A.J』などがコンテンポラリージュエリーの発信をされている有名どころです。
新宿の『CULET by New Jewerly』や『H.P.FRANCE drama』などは「きちんと感」もあって、OLさんでも選びやすいアイテムが充実していると思います。
『New Jewelry』という、作家さんと直接お話できるイベントも年に一度開催されています。
毎年12月は各ブランドからたくさんのアクセサリーが発表される季節。
今年も、新しい着眼点のワクワクするようなアクセサリーに出会えることを期待しながら、コンテンポラリージュエリー巡りをするのが楽しみです。